◆ 間接費管理 (overhead cost controlling = CO-OM)
・管理領域 (controlling area)
- SAPの管理会計で使用する組織単位。
- この単位で、COで使用する機能を定義。
- 原価配分は、管理領域内のみで行われる。
- 管理領域:会社コードは「1:1」または「1:n」
- 管理領域とその管理領域の割り当てられた会社コードでは、
常に同じ勘定コード表と同じ基本会計期間のバリアントを使用。
- 「1:1」の場合、管理領域の通貨は会社コードと同じもの。
「1:n」の場合、管理領域の通貨は自由に選択。
・原価センタ会計 (cost center accounting = CO-CCA)
・原価センタ (cost center)
- コスト責任単位に原価センタマスタを登録。
- 有効期間管理が可能。
- 原価センタ単位で、システム上データが管理される。
- 原価センタマスタの必須項目。
名称、責任者、原価センタカテゴリ、
階層エリア、会社コード(FIとのつながり)
- カスタマイズで、時間依存項目を指定できる。
・原価センタカテゴリ (cost center categories)
原価センタマスタの項目。
原価センタで行なわれる取引の初期値を識別。
・原価センタグループ (cost center group)
- 原価要素と同様に、配賦・計画・レポートのために
原価センタをグループ化するもの。
- 有効期間管理はできない。
- ただの集計単位。この単位でデータは保持しない。
・標準階層 (standard hierarchy)
- 管理領域内の全原価センタが割り当てられている階層構造。
- 原価センタマスタを登録する前に登録し、管理領域に割り当てる。
- 特殊な原価センタグループ。
- 企業における組織図に相当。
- (注意)原価センタの標準階層への割当は、時間依存項目ではない。
・代替階層 (alternative hierarchy)
標準階層以外の原価センタグループ。
・階層エリア
原価センタマスタに登録。(時間依存項目ではない)
「部」と「課」の紐付けなど。
(課のデータを部に集計するため)
・原価要素 (cost element)
・1次原価要素(一次原価要素)
- FIの勘定科目コードと同じコード。先にFI側での入力が必要。
- 組織の外部活動から発生。
FI、MM、HRなどのCO以外のモジュールで転記される。
転記された金額はそのまま原価センタの実績値に。
- 原価要素タイプ(例)
1 :一般的な費用
11:収益(売上)
・2次原価要素(二次原価要素)(secondary cost element)
- COでのみ使う原価要素。
- 組織内の原価の内部フローから発生
- 原価要素タイプ(例)
42:配賦
43:活動配分
・CO伝票番号
会計年度非依存(FIとは異なる)。
・勘定割当論理
FI→COにデータが流れるときは、必ずCOへの実績転記の集計先を
必ず1つ指定する、ということ。
・実績転記
実績データの記録。転記された金額は他の管理会計対象に配分できる。
COに転記できる実績は1つだけ。
・統計転記
参考情報の記録。
統計転記されたデータの移動はできない。
しかし、必要な数だけ統計転記できる。
※転記が実績転記であるか統計転記であるかは、勘定割当対象によって決定。
・未確定債務 (commitment)
- FI伝票が作成される前(購買依頼や購買発注の段階)に、
早期に(将来の)費用を認識。
- 使用するには管理領域で有効化が必要。
また、原価センタマスタの未確定債務のロックフラグを外す。
- システム上では実績データとは別に管理。
- SAP標準で未確定債務のレポートあり。
・値タイプ (value type)
4 :実績転記
11:統計実績(統計転記)
21:購買依頼による未確定債務
22:購買発注による未確定債務
・初期勘定割当、自動勘定割当
- 一次原価の転記に対して、転記する勘定割当対象の入力を
簡易化する方法。
- ある原価要素が転記された際には、常に特定の原価センタに
転記されるよう設定できる。(内部指図や利益センタも同様)。
- あくまで初期値の提案なので、マニュアルで修正可能。
- 価格差異、換算レート差損益、値引きといった自動仕訳
が行われる場合に特に有効。
- 初期勘定割当は、原価要素マスタに入力。
- 自動勘定割当は、カスタマイジングで設定。
- 自動勘定割当に定義された割当対象が、初期勘定割当よりも優先。
・妥当性チェック、代入
システム的な運用(手修正なし)。
絶対に間違えたくないというケースに使用。
妥当性チェックは代入よりも強力。(代入よりも優先される)
・再転記 (reposting)
- 用途(例)
ある勘定科目で、原価センタAにすべきところを、
原価センタBにしてしまった、というケース。
- 修正元の借方にマイナス転記。
※貸方には記録しない。
- CO内部のみで反映(FIには反映されない)。
- マニュアル再転記 (manual reposting):
金額のチェックなし。
- 明細再転記 (report line items):
元となるFI伝票を必ず参照(金額のチェックあり)。
・マニュアル原価配分
- 一次原価および二次原価をマニュアルで転記できる。
- 原価センタの元の借方行が減らされる原価の再転記とは異なり、
センダに別の貸方レコードが作成される。
- すべての原価要素タイプに使用できる。
(例外)活動配分にしか使用できない原価要素タイプ43。
- 実績データにのみ使用できる。
- マニュアル原価配分によって原価センタに借方記入された原価は、
定期再転記を使用して借方記入することはできない。
・活動タイプ (activity type)
- 製造作業、検査作業、システム開発など企業の内部活動を定義。
- 活動配分で使用。活動の数量(時間など)によって金額を配分。
- 必ず原価センタとセットで使用。
- マスタには「配分原価要素(原価要素タイプ:43)」を設定
※活動配分による転記の際に使用するため。
- 活動タイプは直接労務費の計上でも使用されている。
(直接労務費計上の際に、裏側ではCOの活動配分/活動タイプの
仕組みが動いている)
・活動単価
活動タイプの単価。(単価は、原価センタと活動タイプごとに設定)
リアルタイムで計算するために(活動配分の)事前に決めておく。
(実際の単価は月末にならないと分からない)
※実際の単価に洗い替えして再計算する「実績単価でも再評価」
という機能もあり
・活動配分 (activity allocation)
- マニュアルで実行=直接活動配分。
- 自動実行=間接活動配分、テンプレート活動配分。
- 活動配分でセンダになるのは原価センタのみ。
※活動タイプ+原価センタをセットにして使う。
- センダ、レシーバとも原価要素タイプ「43」を使用。
・直接活動配分 (direct activity allocation)
- 実績転記の一つ。月中に実行(ちなみに配賦は月末に実行)。
- 以下を指定する。
センダ原価センタ、活動タイプ、レシーバ、活動単価、活動数量
- 活動タイプの活動タイプカテゴリは
「1:マニュアル入力、マニュアル配分」
・間接活動配分
- 直接活動配分がマニュアルで数量を入力するのに対して、
間接活動配分ではSAPで数量を計算。
- 周期-セグメント方法を使用。
・統計キー数値 (statistical key figures)
- 金額を(原価センタなどに)割り振る基準。
※統計キー数値は金額ベース、活動タイプは数量ベースで割り振り
- 配賦/付替/定期再転記に使用。
- 計画/実績のいずれも入力可能。
・キー数値カテゴリ
統計キー数値関連。
- 固定値:入力した会計期間から同会計年度内の後続会計期間
全体にわたり値がコピーされる。
- 合計値:該当する会計期間に対してのみ転記が行われる。
入力した期間以降にコピーされないので、期間ごとに
個別に入力する必要あり。
・定期再転記 (periodical reposting)
対象は1次原価のみ。
レシーバは元の原価要素をそのまま使用。
センダには貸方転記されない。
必要に応じて、取消・再実行可能。
下記の付替よりレコード数が少ない。
→比較的パフォーマンスがいい
・付替 (distribution)
対象は1次原価のみ。レシーバは元の原価要素。
センダへ貸方転記する。
必要に応じて、取消・再実行可能。
・配賦 (assessment)
- 対象は1次、2次原価要素。
- センダは、原価センタまたは業務プロセスのみ。
- レシーバは、配賦専用の2次原価要素(原価要素タイプ42)
にまとめられる。
→専用の原価要素を使うのでレコード件数少ない。
- 多段階配賦できる。
- 配賦は必要に応じて取り消したり、再実行が可能。
・周期-セグメント方法 (cycle-segment)
- 周期:実行単位(器のようなもの。プログラムの実行単位)
- セグメント:1つの周期に複数のセグメントを設定。
配賦に使う統計キー数値などを設定。
- 異なる周期実行グループに割り当てられた周期は、
相互に並行実行できる。
・付加原価計算 (accrual calculation)
- 原価センタ会計での原価の変動を避けるために、
不定期に発生する費用を関連する期間と原価センタに
配分できる。
- 1つの会計期間でFIに入力された費用が、
COでは年度全体が対象になる場合に対応。
・バージョン (version)
- 管理領域の登録時点で、バージョン「000」が自動登録。
- 異なるバージョンで計画できる。
→例えば、楽観的なシナリオと悲観的なシナリオを作成可能。
- 実績転記を参照する場合、常にバージョン「000」を使用
計画/実績比較にはバージョン「000」を使用する必要あり。
・期間ロック
- 管理領域、会計年度、バージョンの組み合わせに対して、
計画/実績トランザクションをロックできる。
- 個別のトランザクションについて、ロックできる。
(FIではトランザクションごとのロックはできない)
・照合元帳 (reconciliation ledger)
オプションの機能。
COでの振替を「正」として、FIに反映させる。
・主なテーブル
- 合計
COSP(1次原価要素)
COSS(2次原価要素)
- 明細
COEJ(計画)
COEP(実績)